2017年6月30日金曜日

がんの基礎知識

先日、小林真央さんががんのためご逝去されました。ご冥福をお祈りいたします。私も10年ほど前に脳腫瘍(悪性リンパ腫)を患ったこともあり、他人事とも思えません。私の場合は発見が早かったため、一命をとりとめましたが、放射線治療の影響で左目の白内障・左耳の難聴・左前頭葉の頭痛が後遺症として残っています。入院後にはがんについて多少調べましたので、それを書きます。

がんの原因
がんは遺伝子が傷つくことによるDNAの変化によって起こります。がん細胞は常にできていますが、通常ではがんとして発病することなく、抑制遺伝子によって修復されています。通常の細胞は分裂回数が有限であるのに対して、がん細胞の分裂は無限です。従って一旦病巣を作ると、無限に増殖し、やがて生命を脅かすようになります。がん自体はDNAの変化によるものですから、変化したDNAを持つたんぱく質を選択的に攻撃する薬があれば、特効薬になります。現在ではがんの種類によっていくつかの特効薬が開発されていますが、十分ではありません。

がんの種類
がんは全ての部位に起こるので、部位+がんの呼称で区別します。部位によってがんの症状や経過・危険性が変ります。そのほかに原因別の呼称として、白血病と悪性リンパ腫があります。この2つは「血液のがん」と呼ばれています。

がんのステージ
がんは、その進行度によってステージ0~4の5段階に分かれます。私の脳腫瘍(悪性リンパ腫)はステージ1~2ですからまだ転移していませんでした。

ステージ0
がん細胞が上皮内にとどまっており、リンパ節に転移はしていない。
ステージ1
腫瘍が少し広がっているが筋肉の層まででとどまっており、リンパ節に転移はしていない。
ステージ2
リンパ節に転移はしていないが、筋肉の層を超えて浸潤(広がること)している。または、腫瘍は広がっていないが、リンパ節に少し転移している。
ステージ3
腫瘍が筋肉の層を超えて深く浸潤(または臓器の壁を超えて露出)しており、リンパ節転移もみられる。
ステージ4
がんが臓器の壁を超えて、まわりの主要な血管などに浸潤しているか、離れた他の臓器へ転移している。



がんの悪性度
がんはその成長速度から、低悪性・中悪性・高悪性の3つの悪性度に分かれます。例えば100個のがん細胞がある場合に、ほとんど100個全部が活動している場合を高悪性といい、2~3個のごくわずかしか活動していない場合を低悪性と言います。
高悪性の場合は、がんの進行が速く、1日ごとに悪くなる印象ですが、比較的抗がん剤がよく効きます。低悪性の場合は、10年単位で進行していくようながんで、抗がん剤はあまり効果がないと言われています。一般には高悪性の方が厄介と思われがちですが、実は低悪性のがんも長期にわたってケアしなければならず、厄介なものと言えます。
がんの検査・治療法

・血液検査
がん特有の物質(マーカー)の変化を調べます。血液検査だけで調べるため、精度はやや落ちますが、会社の健康診断などのオプションで行うところもあります。
・便潜血検査
大便中の血液によって、大腸がんの有無を調べます。
・マンモグラフィー検査
乳がんの検査で、乳房を平らにしてX線で撮影する検査です。人によっては痛みを伴うため、乳がんの発見率の高い割りに、あまり人気がありません。
・超音波検査
超音波の反射を使って画像を作ります。
・胸部X線直接撮影
主に肺がんの有無を調べます。昔からの方法ですが、多くの肺がんはこの検査で発見されます。
・胃部X線直接撮影
バリウムを飲んで、胃のレントゲンを撮る方法で、胃がんの検査に用いられます。会社の健康診断などのオプションで行うところもあります。
・CT(コンピューター断層撮影)
体外からX線を当て、断面図を作るものです。場合によっては造影剤を用いて撮影を行います。
・MRI(磁気共鳴撮影)
人体に影響のない磁力線を使って断面図を作るものですが、軟骨組織なども判別できるため、CTでは写らない腫瘍を見つけることができます。心臓ペースメーカーを使っている人はこの検査を受けられない欠点があります。
・PET(陽電子放出断層撮影、ポジトロンCT)
放射性物質を含むブドウ糖みたいな液を体内に注射して、腫瘍に血液が集まことを利用して、がんを特定するものです。脳・心臓・胃などの元々血液が集まっている場所の腫瘍には向きませんが、全身の検査を一度に行うことができます。
・内視鏡検査
胃・大腸・肺等に用いられ、光ファイバーによって、直接患部の確認をします。確率の高い方法ですが、限られた腫瘍にしか利用できないこと、受診者の肉体的負担が大きい事などの欠点があります。
・子宮細胞検査
子宮細胞を直接採取し、がん化しているかどうかを検査する方法で、かなり確率の高い方法です。がん検診の中では広く行われています。
・喀痰細胞診
患者の痰の分析をして、がん細胞の有無を調べます。肺がんと肺結核などの区別に用いられます。
・病理検査
直接細胞を採取して調べる方法で一番高い確率で、がんの有無が分かります。
がんの治療法

がんの治療法は年々進歩しており、それに伴って死亡率も下がってきています。がんの治療法には基本的には、「手術療法」「化学(薬物)療法」「放射線療法」の3種類であり、これを三大療法と呼んでいます。

・手術療法
がんの病巣やその周りの細胞を、がんの取り残しがないように切除します。
・化学(薬物)療法
抗がん剤の使用してがん細胞の増殖を妨げ攻撃し、転移したがん細胞に効果がある全身療法です。
・放射線療法
放射線を照射してがんを攻撃する療法です。
・レーザー治療
内視鏡の先端にレーザー発射装置をつけて、病変部まで挿入し、レーザー光のエネルギーにより、がん細胞を攻撃、破壊させる治療法です。
・腫瘍焼灼法
内視鏡にレーザー照射装置を取り付けた「レーザー内視鏡」を使って、高出力レーザーの熱エネルギーにより腫瘍(がん)を焼き切る治療方法です。
・光線力学的療法(PDT)
レーザーのもつ光化学反応を利用し、がん細胞を死滅させる治療法です。
・免疫細胞療法
体の免疫全体を底上げすることでがんに対抗し免疫細胞に作用します。
・活性化自己リンパ球療法
患者様本人の血液(約30ml)から、リンパ球を分離し、約1,000倍に活性化増殖させ、点滴で体内に戻す療法です。
・造血幹細胞移植
提供者(ドナー)の造血幹細胞を移植して正常な血液を作ることができるようにする治療です。
・ガンマ―ナイフ
病変部にピンポイントでガンマ線を集中照射(精度は0.2~0.5mmくらい)して患部を焼き切ります。
・重粒子線治療
炭素イオン線でがん病巣をピンポイントで狙いうちするものです。
・陽子線治療
がん局部だけを照射して周囲の正常な細胞が傷つくことを抑えることができます。痛みもほとんどありません。



基本のがん(4種類)検査セット でがん検診を受けておきましょう。




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