2017年3月9日木曜日

アナフィラキシーショック

よく、2時間ミステリードラマでアナフィラキシーショックを殺人の手段とするのが多いですね。しかし、このアナフィラキシーショックについて、間違った情報が数多く盛り込まれています。アナフィラキシーショックについて正しい知識を勉強しましょう。

アナフィラキシーとは全身に現れるアレルギー反応のことです。アレルギー反応とは、無害な物質に対しても体内の防御機構が過剰反応をしてしまうことです。体内の免疫は、5つの抗体の作用によりますが、アナフィラキシーはその内の「IgE(アイジーイー)抗体」というタンパク質が関係しています。

アレルギーには Ⅰ 型からⅣ型の4つの型がありますが、アナフィラキシーは Ⅰ 型タイプで、別名「即時型」などと言われています。花粉症、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、気管支喘息、食物アレルギーの多くがこのタイプになります。

アナフィラキシーは、アレルゲン(アレルギーを起こす物質)を食べたり、吸い込んだりすると、数分で、全身(皮膚、粘膜、呼吸器、消化器、循環器など)に症状が現れます。アナフィラキシーによってショック症状を起こすことを「アナフィラキシーショック」と言います。

ショック症状とは、驚いたりするいわゆるショックではなく、主に血圧低下や血流低下によって全身の機能が働かなくなる症状です。アナフィラキシー以外では、出血、やけど、心不全、敗血症などに見られます。アナフィラキシーショックは、二相性(二峰性)の場合があり、一度治まっても再度症状が現れるので注意が必要です。

アナフィラキシーは、じんましん、赤み、かゆみなどの「皮膚の症状」。くしゃみ、せき、ぜいぜい、息苦しさなどの「呼吸器の症状」、目のかゆみやむくみ、くちびるの腫れなどの「粘膜の症状」、腹痛や嘔吐などの「消化器の症状」、血圧低下など「循環器の症状」などがあります。すぐ病院に行く(当然、救急車)必要があります。

アナフィラキシーショックでは年間70人が亡くなっていますが、蜂による死亡者は20人ほどです。特に7月~10月にかけての被害が多いので気をつけましょう。被害はアシナガバチ、スズメバチ、ミツバチの順に多く、短期間に2回刺されるとアナフィラキシーショックを起こすことがあります。中には1回目で起こす人もいます。

一般に蜂アレルギーの人は、蜂に刺されてから約15分以内に、刺された人の約10~20%にアナフィラキシーの症状が出ます。蜂アレルギーのうちアナフィラキシーショックを起こすのは数%程度とも1%未満とも言われています。

まとめ

・アナフィラキシーはアレルギーの一種。
・蜂アレルギーを持つ人が蜂に刺されると、10%~20%でアナフィラキシーの症状が出る。
・蜂アレルギーを持つ人のうち、アナフィラキシーショックを起こすのは1%程度。
・被害はアシナガバチ、スズメバチ、ミツバチの順に多い。

<2時間ドラマの例>
・被害者は昔スズメバチに刺されたことがある。
・犯人は被害者を密室に閉じ込め、部屋に数匹のスズメバチを放つ。
・密室内で死体が発見されるが、警察は犯行の手口が分からない。
・探偵が現れ、アナフィラキシーショックで死亡してことを告げ、犯人を指名する。

笑っちゃいますね。
「この犯人は本当に殺す気があるのか?」と思いませんか?

1.被害者が蜂アレルギーかどうか説明されていない。「昔、スズメバチに刺された」と蜂を怖がるのは、伏線になっていない。私もスズメバチは何℃か刺されたことがあり、怖い。
2.アナフィラキシーショックは起こさない確率が随分高い。
3.アナフィラキシーショックの死者は見ればだいたい分かる。

・犯人が、「脅かすつもりだった。まさか死ぬとは思わなかった」と言えば、そちらの方が妥当である。

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