2017年2月10日金曜日

逆噴射 '82

覚えている方は覚えておられるでしょう。忘れてしまった方は、忘れたままか、思い出すかしましょう。当時生まれていなかった人はきっと知らないでしょう。「心身症」という病名がいきなり登場した日のことです。

1982年2月9日、羽田沖で起きた日本航空350便の墜落事故で、別名「日航機逆噴射事故」と言われています。機長は不可解な言動からジェットエンジンを逆噴射させ、墜落しました。飛行機は後ろ向けに飛ぶようにはできていませんので、落ちますよね。日本航空350便は羽田空港の誘導灯まで進みながら空港目前の浅い海に墜落し、24名の死者と149名の重軽傷者を出しました。羽田空港に近く浅い海であったことが不幸中の幸いとなりました。

機長は当初「心身症」と報道されましたが、後に「妄想性精神分裂病(統合失調症)」となっています。墜落事故当時、精神障害のある人間の代名詞的に「逆噴射」という言葉が多用されました。
当時は個人情報の保護もなかったため、このパイロットの実名もその種の代名詞に使われることが多かったです。私は機長の名前を憶えていますが、書くのは控えたいと思います。

「逆噴射」「心身症」「キャプテン(機長)、やめてください」は流行語になりました。

この出来事で、精神病や神経症が世に知られるようになると同時に、「何をやらかすかわからない逆噴射」と偏見の対象になりました。マスコミの報道姿勢に問題があったわけですが、「精神病は怖い」という印象を与えてしまいました。

ちなみにこのとき話題になった心身症とは、心理的なこと(ストレスや極度の緊張など)から身体に異常を起こす病気のことです。ひとつの病気ではなく、心が起こす多くの疾患のことを総合的に述べた病名です。実際の病変があるところから、精神科では扱わず心療内科の範疇に入ります。具体的には、ストレスから来る過敏性腸症候群や緊張が続いた時の高血圧などのことです。病名記載では、狭心症(心身症)というように、後ろに(心身症)をつけて表示します。

このように、ストレスから来る病気はうつ病ばかりではなくいろいろありますので、自分なりのストレス解消法を見つけておきましょう。


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